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Web会議システムの導入を検討すべき部門は総務か情シスか

Web会議システムの導入検討に最適な部門はどこか

出張経費の削減や業務の効率化を目的に、社内で導入の検討が始まることが多いのが、Web会議システムです。 Web会議システムの導入を検討するときに、しばしば問題になるのが、「だれが導入検討や運用を行うのか」という点です。 Web会議システムは、会議を効率化し、経費を削減するという観点では、総務部門が担当する分野のように思えます、また、PCやネットワークを利用するという観点では、情報システム部門の担当分野にも思えます。 Web会議システムの導入で失敗しないためには、「誰が導入を推進するか」は大きなポイントなのです。  

代表的な失敗事例

Web会議システムを導入しても、想定どおりに使われなかったり、期待したコストダウン効果が得られなかったりするケースがあります。 ここでは2つの失敗事例をご紹介します。  

使われないWeb会議システム

情報システム部が主導し、大型ディスプレイと高性能なカメラを接続したWeb会議システムを全拠点の会議室に配備、同時にネットワークも強化しました。 快適に利用できると、現場からの評価は高いにもかかわらず、今まで利用していた電話会議システムからの移行が思うように進みません。結果、Web会議システムが活用されないまま、2重にコストがかかり続ける結果になってしまいました。 情報システム部が、使われていない理由を調査したところ、Web会議システムを利用頻度の高い会議室に設置したため、Web会議システム以外の利用で予約が埋まっていることが判明しました。 さらにヒアリングをすすめていくと、今までは電話が1回線あれば参加できたが、参加するすべての拠点で、Web会議システムと会議室の両方が準備できないと、会議が開けなくなっていたこともわかりました。 情報システム部は、会議室の利用状況や参加メンバーの傾向を把握している、総務部に相談し、比較的使用頻度の低い会議室へ各拠点のWeb会議システムを移動した上で、Web会議参加者の予約を優先するルールを設けることとしました。  

便利に使われすぎてコストが増大

総務部が主導し、幹部社員の定例会議用に限定して、Web会議システムを全拠点に導入しました。 定例会議で定期的に使用しているうちに、少しずつ社内にWeb会議システムの存在が広まっていった結果、他の会議でもWeb会議システムが利用されるようになりました。 総務部では、限定されたメンバーが、週に1度の定例会議で短時間利用することを想定していたため、利用時間単位で課金される料金プランのWeb会議システムを導入していました。 一般社員の会議にも日常的に使われるようになった結果、利用時間が大幅に増加し、Web会議システムの利用料金として、想定外の金額を請求される結果になりました。 また、Web会議システムが日常的にインターネット回線を使用するため、他の業務で利用するインターネットまで遅くなってしまうという苦情がでるようになってしまいました。 困った総務部は情報システム部と相談し、ネットワーク負荷が少なく、大規模な利用でも料金がかさまないWeb会議システムへの移行を行いました。  

Web会議システムの導入は経営課題

これら2つの失敗事例に共通しているのは、「エンドユーザーのWeb会議システムの利用ニーズは高い」ということです。 情報システム部が会議室にWeb会議システムを設置した事例では、Web会議システムの利用可否が、会議室の空き状況に左右されてしまい、エンドユーザーが使いたくても使えない状態になっていました。 また、総務部が利用者を限定して導入した事例では、拡張性のないシステムを選定したことで、ユーザーの利用ニーズに対応できず、コストがかさむ結果となってしまいました。 Web会議システムは、他のシステムや備品と同じように、会議に使うツールだから総務部、PCとネットワークを使うから情報システム部というふうに、従来の業務の延長線で検討してしまいがちです。 しかし、Web会議システムを部門単位で検討した結果、利用者のニーズにあわず使われなかったり、想定外の利用でコストがかさんだりする事例が目立ちます。 また、単純にどのWeb会議システムを選ぶかという観点で製品を比較し、導入してしまうと、単純なコストや性能だけで判断してしまう結果になります。 Web会議システムは、コミュニケーションツールであり、幅広く活用できるのが特徴です。はじめは、人事部が教育のために導入したWeb会議システムでも、営業部門と工場の定例会議に利用できるかもしれませんし、災害時の社内連絡網としての利用も期待できます。 また、テレワークやモバイルワークに代表される働き方改革への対応は、優秀な人材を確保するために避けて通れない課題です。単純なシステムの導入ではなく、全社的な課題解決手段としてとらえることが、Web会議システムの導入で失敗しないためのポイントです。  

経営層によるトップダウンの意思決定が成功の第一歩

Web会議システムの導入を検討する上で必要なノウハウは、社内の各部門に分散されています。 社内でどのような会議が定例的に行われていて、会議室ごとの稼働状況や、部門ごとの利用傾向はどうなっているのかは、会議室の予約を管理している総務部門がノウハウを持っている部分です。 また、Web会議システムは、パソコンやネットワークを利用するだけでなく、カメラやマイクなどを新たに接続するため、情報システム部門のサポートは必要不可欠です。 さらに、幹部社員や営業部門など、実際に利用するエンドユーザーの声も無視できません。エンドユーザーが自分で使えるシステムを導入することは、最も重要なポイントです。 総務部、情報システム部、エンドユーザーの誰が主体になっても、他部門に意見を聞くことで導入を検討できそうですが、なかなかうまくいきません。 各部門が主体となって、既存のシステムの入れ替えや、出張費の削減などを目的を設定に検討すると、導入ありきの検討となってしまいがちです。 各部門からノウハウを持ち寄り、プロジェクトチームを作ってボトムアップで検討するよりも、まずは経営判断として、Web会議システムの導入をすすめるのが、うまくいくためのポイントです。  

小さく導入すると大きく広がるのがWeb会議システムの特徴

Web会議システムは、1対1からでも気軽に導入できるのが最大のメリットです。 機材も一般的なものが使えるので、特殊なものは必要ありません。 パソコン、ネットワーク環境、Webカメラ、マイク、ヘッドフォンがあれば始められます。 高品質なビデオ会議システムは高価で、すべての会議室に設置するのはコスト的に現実的ではありませんが、パソコンとインターネット回線を利用するWeb会議システムなら、必要最小限のコストで導入できます。 まずは、小規模にWeb会議システムを導入することをおすすめします。 小さな規模で良いので、まずは用途を限定せず、使いたい人がいつでも自由にWeb会議システムを利用できる環境を準備してみましょう。 内線電話や電子メールだけではなく、Web会議やチャットなど、コミュニケーション手段が広がっている中で、社員も新しいコミュニケーションツールをプライベートで活用しています。 会議の一部や社内研修などで利用し、メリットを実感できると、利用者は自然に増えていきます。  

Web会議システムの利用者が自然に増える仕組み

Web会議システムの導入を検討する上で知っておきたいのが、経済学の「ネットワーク外部性」という考え方です。 携帯電話を例に説明してみましょう。 利用者が1人しかいない携帯電話網は、どこにも通話できず何の価値もありません。 そこに1人加わると、相互に通話できるという価値が生まれ、もう1人加わると、1人目の利用者には、2人と相互に通話できるという価値が生まれます。 このように、「利用者が増えることで全体の価値が向上していく」性質を、ネットワーク外部性と呼びます。 ネットワーク外部性のあるサービスは、利用者が増えていくごとで価値が高まっていくため、利用者が自然に増加していく特性があり、最終的には「使わないと不便」「使わないと困る」という段階まで進むことがあります。 ネットワーク外部性が強いサービスとして代表的なのは、電話網やEメール、無料通話アプリなどです。 Web会議システムも、利用者が増加していくことによって、Web会議システム全体の価値が高まっていくため、ネットワーク外部性があるといえます。 最初に小さく導入して自由に使えるようにすると、便利さを知った利用者が自然に増えていき、社内に広がっていく性質があります。 ネットワーク外部性をうまく利用することで、Web会議システムの価値、すなわち企業にとっての導入効果を高めることができるのです。  

導入担当は情報システム部でも総務でもない

Web会議システムの導入効果は、効率化やコストダウンが注目されがちです。 しかし、Web会議システムには、コミュニケーションを改善し組織を活性化するという見逃せない効果があります。 ・工場と営業部門など、地理的にやり取りが難しかった部門間でも気軽にコミュニケーションがとれるようになる ・本部と店舗など離れていても、現場の声をタイムリーに拾い上げられるようになり、モチベーションアップにつながる。 現在の業務の延長線上で検討しても、得られる導入効果は、効率化やコスト削減に限定されてしまいます。 今行われている会議を電子化するというような発想でスタートしても、Web会議システムの導入効果を最大化することはできないため、導入を検討すべき部署は情報システム部でも総務部でもないのです。 Web会議システムを「経営課題を解決するツール」としてとらえ、「経営層が主体となって全社で導入検討をすすめる」ことが、大きな導入効果を得るためのポイントなのです。