CROSS導入実績
鹿児島県 志布志市 様
遠隔窓口ソリューションCROSS導入実績 02

水道課のスモールスタートが市全体のDXを動かした
遠隔相談システム「CROSS」で支所窓口のサービス格差を解消
鹿児島県志布志市は3町合併により本庁・有明・松山の3庁舎体制を抱え、支所に専門職員が不在のため水道や建設など専門相談が完結しないという課題を抱えていました。その解決策として選んだのが、エイネットの遠隔相談システム「CROSS」です。
水道課からのスモールスタートで業務フローを丁寧に整備し、3ヶ月KPIを目標比156%で達成。現在は複数課に展開が進む成功モデルとなっています。
取材ご対応者
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中尾 秀昭 氏
鹿児島県 志布志市役所 総合政策課 DX・広報グループリーダー
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加治木 稍 氏
同 シティセールス課 おもてなしグループサブリーダー
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橋川 真悟 氏
同 総合政策課 DX・広報グループ サブリーダー
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稲留 和紀 氏
同 総合政策課 DX推進アドバイザー
課題
- 支所に専門職員(水道・建設等)が不在のため相談が完結せず、市民を別窓口へ案内する手間が生じていた
- 本庁と支所でサービス格差があり、どの庁舎でも同質の行政サービスを提供できていなかった
- 職員数の減少が見込まれる中、少人数で質の高い窓口サービスを維持する仕組みが必要だった
解決
- 市民は専用端末を通じて本庁の専門担当課と遠隔相談が完結。支所でも手続きを終えられるようになった
- 水道課での試行で目に見える効果が生まれ、下水道・農業委員会・建設課へと横展開が加速
- 段階的な業務フロー整備と長期試行により、職員の習熟度を確保したまま安定稼働を実現
本庁と支所の「サービス格差」を解消するために
鹿児島県の東端に位置する志布志市は、2006年に旧3町が合併して誕生しました。市域には中山間地域が広がり、本庁(志布志庁舎)のほか有明・松山の計3庁舎を抱えています。広域の市域を限られた職員で支える体制は、人口減少とともに年々厳しさを増しています。
総合政策課でDX推進を率いる中尾秀昭氏は「行政のデジタル化を進めるには、市民側からも行政内部からも変化をつけていく必要があります」と話します。同市は2023年度にスマート自治体への転換を掲げた情報化計画を策定し、遠隔相談システムの導入をその重点施策の一つに位置づけました。
「市民サービスの向上と業務効率化、この二つが私たちのDX推進の根本です」と語るのは、当時から推進を担ってきた加治木稍氏です。
導入を後押しした直接の課題は、支所における専門窓口の空白です。水道・建設・農業委員会などの専門課は支所に窓口がなく、支所では専門的な相談に対応できませんでした。支所に来た市民を担当課へ案内したり、逆に担当課の職員を呼んだりと、双方に手間がかかっていたと加治木氏は振り返ります。「市民にとっても職員にとっても、質の高いサービスとは言えませんでした」(加治木氏)。コロナ禍を機に高まった非対面ニーズと、将来的な職員数の減少も見据え、遠隔相談システムの本格検討が始まりました。
決め手は「コスト・操作性・柔軟な実証対応」
複数社を比較検討する中で、エイネットとの出会いは偶然の産物でした。ちょうど加治木氏が遠隔相談システムの会議中のタイミングにカタログだけ置いて帰ろうとした担当者に、すぐさま連絡を取ってそのまま商談に入ったのが始まりです。
CROSSを選んだ決め手は三点あります。一つめはコストです。1対1接続の基本パッケージは他社に比べ大幅に安価でした。二つめは操作性です。専用端末を通じて簡単な操作で本庁の担当課に繋がる設計で、機械操作に不慣れな高齢者にも配慮されています。三つめは実証期間への柔軟な姿勢です。「短い期間では効果を判断できないと相談したところ、比較的長い実証期間での協力が得られました」(加治木氏)。試行は結果的に1年近くに及びました。

住民用端末(左)と帳票印刷用プリンター(右)
(2026年4月時点)
試行の対象に選んだのは水道課でした。開栓・廃止・変更申請や水道料金の納付書再発行など、相談内容が明確で利用頻度も高い業務が揃っており、検証に適した環境でした。さらに大きかったのは、水道課の担当職員が意欲的に取り組みを進めてくれたことです。
特に、納付書の再発行では、支所を訪れた市民の依頼に対し、本庁の水道課職員が手元の基幹系端末からリモートで出力指示を送り、支所に設置された基幹系プリンター(あらかじめ納付書用紙をセット済み)から即時印刷できます。納付書を紛失した住民がその場で再発行を受け、支所で水道料金を支払えるこの仕組みは、利用頻度の高い活用例の一つとなっています。
広報担当として導入の周知を担い、現在は加治木氏の後任となった橋川真悟氏は「他の課から導入の相談が来ていて、職員からも求められているのを感じています」と話します。
目に見える成果が庁内に伝播し、複数課へ展開
2025年1月、市の組織再編に合わせてCROSSが本格稼働しました。3ヶ月のKPIとして設定した50件に対し、実績は78件。目標比156%での達成でした。「年度末の3月、4月は水道手続きが集中し、利用者が並んで待つほど稼働しました。10分でも止まったら困るという状況にまでなりました」(加治木氏)。
業務を絞らずに端末だけを支所に設置し、現場任せにした導入はうまくいかないこともあるようです。志布志市では使う業務と対象窓口を最初から明確に定め、段階的に課題を潰しながら導入を進めたことが、安定稼働につながりました。
水道課から始まったCROSS活用は、下水道(集落排水)、農業委員会、建設課へと拡充が進み、現在もさらなる展開が計画されています。中尾氏は「成功事例を他の課にも見ていただきながら、横展開を進めていきたいと思います」と話します。KDDIから出向しDX推進を担う稲留和紀氏も「志布志庁舎への人員集約が進む中、遠隔窓口を職員の働き方にも活かせる余地があると感じています」と続けました。
加治木氏は今後の展望について次のように語りました。
「遠隔相談を単体で捉えるのではなく、書かない窓口や執務環境の整備と組み合わせた窓口DX全体として取り組むことが、これからの行政サービスのあり方だと思っています」
ユーザー紹介

鹿児島県 志布志市 様
面積290.21km²、人口約2万8000人(2024年9月末時点/住民基本台帳)。旧志布志町・旧有明町・旧松山町の3町合併(2006年1月1日)により発足し、本庁(志布志庁舎、旧志布志町役場)のほか有明庁舎・松山庁舎を擁する3拠点体制をとる(2021年に本庁機能を有明から志布志に移転、2025年1月の組織再編で本庁集約が進行)。市域の北部から東部にかけては丘陵山間地帯で森林地が約6割を占め、農林水産業に加え九州唯一の国際バルク戦略港湾「志布志港」を抱える物流も基幹産業。総合政策課がDX推進を所管し、2023年3月策定の「第4次志布志市情報化計画」のもとスマート自治体への転換を進めている。
