Web会議の基礎知識
更新日:2022.01/21(金)
自社のネットワーク内に専用のサーバーを構築して導入するオンプレミス型Web会議システム。
新型コロナウイルス感染症対策としてのリモートワークの緊急導入などの影響もあり、現在はクラウド型Web会議システムが主流となっていますが、実は長期的な目線で見ると、オンプレミス型Web会議システムに乗り換えた方がベネフィットを得られる企業もたくさんあります。
今回はこのオンプレミス型Web会議システムをテーマに、VTVジャパン株式会社の栢野代表とエイネット株式会社の西畑代表のお二人で対談をしていただきました。
オンプレミス型Web会議システムの歴史から、新型コロナウイルス感染症による影響、現在のクラウド型Web会議システムの使い方に対する危機感や企業に求められるオンラインコミュニケーションへの今後の対応についてまで、テレビ会議・Web会議の専門家であるお二人のディスカッションをお届けします。
目次
VTVジャパン株式会社 代表取締役
昭和63年 | 大阪教育大学を卒業、広告代理店に入社 その後ベンチャー企業に入社 |
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平成7年 | VTVジャパンに入社 |
平成8年 | VTVジャパン代表取締役に就任 |
広告代理店やベンチャー企業で営業とマーケティングの経験を積み、1995年VTVジャパンの設立に参画。
日本初のテレビ会議専門会社として、ビジネスの中核としてテレビ会議を捉え、インテグレーション、サポート、レンタル、貸テレビ会議室運営を統合したソリューション提案を行う。
今後も新型コロナウイルス感染症の世界的大流行によって急速に普及したオンライン会議に対して、ユーザーのニーズを掘り下げ、独自の提案で企業ごとに最適な遠隔コミュニケーション環境の構築・運用を支援していきます。
エイネット株式会社 代表取締役社長
平成6年 | スリーコム(現:三井情報)にエンジニアとして入社 |
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平成10年 | エイネット入社 エンジニアとして入社後、営業部に配属 |
平成18年 | 取締役に就任 |
平成20年 | 代表取締役に就任 |
幼少期から通信の基礎と、コンピュータサイエンスに興味があり、学生時代から起業を考えていた。
米国メーカーの日本法人に就職し、学生時代と異なる手法に戸惑いながらも猛勉強。起業家の父と共同経営でエイネットを設立し、ネットワーク専門の会社として24年間奮闘し続けている。
時代の変化に合った製品作りを常に心がけ、今後もパッケージ開発に邁進して参ります。
–まずオンプレミスの歴史から教えていただきたいのですが、Web会議システムの"オンプレミス"はいつ頃から登場したのでしょうか?
西畑さん(以下敬称略):オンプレミスの歴史と言われても……と栢野さんも思われているかと思うのですが……。
栢野さん(以下敬称略):元々オンプレミスという言葉は無くて、クラウドが出てきたから、その対義語としてオンプレミスが出てきましたよね。
西畑:そうですよね。元々あえてオンプレミスとは言わなかった。
栢野:若い方からするとオンプレミスの歴史になるんだなと、今思いました。
元々は自社でシステムを持つのが普通だったのでそういう区別がなかったのですが、利用形態の変化によってそれがオンプレミスということになってきたので、テクノロジーの進化を内在しつつも、利用形態の変遷の中で生まれた言葉なのかなと思います。
クラウドが提供できるようになったというところには、仮想化の技術が大きく関与していますが、あくまでオンプレミスという言葉に関しては、Web会議システムの構築方法が1つから2つになって、そこで区別が必要になった為に生まれたという認識です。
西畑:そうすると、逆にクラウドという言葉を使い出したのはいつぐらいになりますか? その前はASPとは言っていたような気がするんですが。
栢野:そういう意味だと、西畑さんがビジネスで展開し始めた頃はASPだったんじゃないかなと思うのですが……。
西畑:そうするとWeb会議の20年ちょっとの歴史の中にASPが登場したのは、半分くらいからですかね。
そしてASPからクラウドに呼び方が変わってきました。ASPとクラウドの線引きってどこだったんでしょう? 仮想環境? それともサーバーを並べて動かしているものをASPと呼んでいた?
栢野:どうでしょう。ASPはあくまでも時間単位(従量課金)や月額で契約できるアプリケーションのことであって、裏側の技術については特に問わなかったイメージがあります。例えば仮想化していなくて、サーバー1台だけで動かしていてもASPだった。それがクラウドになると、仮想化していたり、サーバーが複数台あったり、どこにメインサーバーがあるのかわからなかったり。そういうところの違いなのかなという感じがします。
西畑:なるほど、確かにそうですね。おっしゃる通りです。サーバー1台で動かしていてクラウドと言うのはなかなか恥ずかしい。私たちも二重化とか、地域性をずらしたりとか、少なくともサーバーが複数台あるもののことをクラウドと呼んでいたような気がします。私たちは最後までクラウドって呼ばなかったと思うのですが、ASPの裏側をクラウドにしなければならなくなってきたみたいなことが起こり始めたのは10年くらい前ですかね?
栢野:そうでしょうね。やっぱりAmazonのAWSの影響が大きかったのかなという気がするのですが。
西畑:外部のインフラですよね。
栢野:AmazonやMicrosoftがクラウドサーバーを提供し始めて、クラウドクラウドと言うようになってきたのかなと。クラウドというのはサービスにかかわらず、サーバー環境を提供するという意味で。
西畑:インフラ側がサーバー環境はAmazonのクラウドって言っている以上、そこにのせたサービスもクラウドと言う。下から巻かれたようなイメージですよね。
結果的にASPの上の部分と、インフラも含めたクラウドサービスの区別があまりなくなったみたいな。
栢野:そんな感じだと思います。ITの歴史としてより正確性を求めるなら、もっといろいろなテクノロジーの話も含めなければならないのでしょうが、私は営業とマーケティングが専門分野なので、そのような感じで捉えています。
西畑:私も本当に同意見で、そんなに区別をしていなかったな、なんて思って。オンプレミスの定義が後からできてきたものなので、ちょっと答えづらい質問だったかなと思います。
西畑:オンプレミスについてもっと掘り下げていくなら、サーバーのシステムについて、ホストと端末みたいな話をしなきゃいけないのかな? クライアントサイドやサーバーサイドがあってそこを行ったり来たりする。
栢野:そういう意味だと、テクノロジーが電話の技術のP2PからIP化によってクライアントサーバー型に変わったところも大きいと思います。
西畑:「CU-SeeMe」から始まって、テレビ電話みたいなものが、1対1からサーバーを介したマルチポイントになってみたいなところですかね?
栢野:そうです。私たちがスタートしたのはISDNのH.320という規格でした。
西畑:H.323の前ですね。
–詳しく説明していただいても良いですか?
栢野:ISDNを主とするような電話交換の技術の上で動く、標準化のプロトコルです。私たちがビジネスをスタートしたのがそのH.320の時代でした。
最近は流石にH.320のシステムはほぼ使われていないので質問されることはないのですが、十数年くらい前にH.323のシステムが普及し始め、H.320がだんだんと置き換えられていく過程では、若い営業担当がH.320のことを私に聞きにきていました。お客様に質問されてわからないことがあったら、H.320については社長に聞きに行くと良いみたいな。
IPではなく、P2Pでサーバーを介さずにつながるという電話と同じ仕組みなのですが、MCUを介して10拠点、20拠点とつなぐ方法もあります。ただ基本的にはこのMCUもサーバーというよりは、1個1個ポートを持っていて、それをP2Pでテレビ会議端末とMCUのポートを接続するというものでした。つまりMCU自体でエンコード・デコードを行っていました。そういうテクノロジーだったので、Web会議と言う前は、PC会議と言われていました。
PC会議では、デスクトップパソコンのバスにボードを入れてそこにISDNの回線を用意して、そのボードを介してテレビ会議をしていました。
そこからサーバークライアントの技術によって、Web会議システムというものが出てきました。接続方法が違うので、基本的にはWeb会議システムとテレビ会議はつながりませんでした。
–MCUがP2Pを1個1個つなげて多拠点接続ができる。でもそれって音だけでも大変じゃないですか?
栢野:当時例えば10拠点つなぐ能力のMCUというと、基本的には10台のテレビ会議に相当するものでした。だから10拠点つながるMCUは、大雑把にいうとテレビ会議10台分の相当の金額でした。
そこから次に出てきたPC会議は、ボードを入れる必要があったのであまり普及せず、先ほど言った通り、今のサーバークライアント型につながるIPの技術によって、Web会議システムが登場してきました。
–ここ10年くらいで通信回線がどんどん速くなってきて、技術も進んできて、いろいろなことができるようになってきました。オンプレミス一択だった時代から、どんどんお客様の選択肢が広がっていく中で、オンプレミスの立ち位置はどのように変わってきたのでしょうか?
西畑:今はもう条件比較とか無しで、ドタバタとクラウドにしましょうですけれども、10年前、いや15年前にも、オンプレミスとクラウドを比較してクラウドが有利だったことがやっぱりあって。その理由って何だったと思います?
栢野:あくまで私の印象なのですが、当時クラウドが有利だったというよりも、もう世の中の流れがクラウドだから、テレビ会議も全部クラウドにしよう!みたいな感じだったからだと思います。ちゃんと比較してというよりは、ITトレンドというところが大きかったかなと。
ただ、ボトムアップできちんとセキュリティや運用形態、接続範囲などまで考えていた企業は、オンプレミスになるケースの方が多かったような気がします。
西畑:はい、私もそんな印象です。もう、いろいろな検討事項をすっ飛ばしてとにかく早く導入するというのが、本当に主流になってきているなと思いまして。それで何とかなっちゃう時代になったというところも非常に大きいのかなと。
以前は、VPNで囲まれていてプロキシを経由して外部ネットワークに出るような環境の中では、ASPで10拠点以上つなぐのは無理だから社内ネットワークの中に入れるというのが印象として一番強かったのですが、最近はもうその環境でもつながっちゃうみたいで、イケイケどんどんで全部クラウドにされていますね。まぁこれは、Web会議特有の悩みだったのかもしれないですけれども。
栢野:そうですね。皆さんやっぱり、セキュリティに穴を開けるのを嫌っていたというか、そこは慎重だったと思います。それが今はどちらかというと、もう勢いでやってしまっているみたいな感じはあります。それにはそんなに抵抗感が無くなってきたのかなって思います。
–ここ2年弱の新型コロナウイルス感染症の世界的大流行は、やはりオンプレミスの立ち位置をさらに変化させましたか?
栢野:オンプレミスがちょっと置いてきぼりを食った感がありますね。
–どういうところでですか?
栢野:選択肢としてあまり挙がらなくなってきたという感じです。コロナ禍では非常時ということで、リモートワークへの対応が最優先でした。オンプレミスで構築しようとすると検討項目が多く、セキュリティであったり、会議において自社で本当にやりたい運用ができるのかどうかとか、本来であればそういうことを時間を掛けて検討した上で構築していくのが必要なことなのですが、時間を掛けられる状況ではありませんでした。とりあえずとなると、自分たちがオンプレで持つよりは、借りる方が楽で早い、MicrosoftのOffice 365を契約していればTeamsも使えるので、Teamsでオンライン会議を行えば、新たなコストも掛からないので、一気にそちらに動いてしまった。
コロナ前は、オンプレミスにするのかクラウドにするのかをちゃんと比較検討して、その結果クラウドになるケースもあれば、オンプレミスになるケースもあったのですが、コロナ禍ではオンプレミスという選択肢がもう完全に抜け落ちてしまって、クラウドで対応するのが大前提になってしまった感じがあります。
–そんな現在のクラウド全盛の流れを見ていて、危機感みたいなものって覚えますか?
栢野:危機感のレベルをどこに合わせるかにもよるのですが、低いところへ合わせるなら、街角のカフェなどで公衆Wi-Fiを使ってWeb会議をしている人を見かけたりしますが セキュリティや情報漏洩の観点で「大丈夫かなぁ?」って思ったりしますね。
西畑:セキュリティ上難ありですし、発言しづらいのに、会議が成り立っているような格好だけができているのが非常に良くないと思います。発言しづらい環境がオーソライズしていくみたいな。その進め方はいかがなものかといつも思っています。
栢野:ITは便利で、システムさえ構築すればやりたいことが実現できてしまうのですが、使う側が追いついていないなと感じることもあります。
秘匿性のレベルが高い情報の扱いに関しては何重にもセキュリティを掛けていると思うのですが、ちょっとした情報に対しての扱いが雑になっているんじゃないかなっていう気もしたりします。幸い大きな事故とかは起こっていないようですが。
–なるほど。多分、予想されるリスクが可視化できていないから、公衆Wi-FiでWeb会議をしてしまうのかと思いますが、最悪の場合どのようなことが起こってしまうのですか?
栢野:まあやはり情報が洩れてしまうということだと思います。
西畑:Web会議やテレビ会議で懸念されるのは、やっぱり盗聴のような通信内容を読み取られること、それからサーバー上に残っている通話履歴や送受信した資料を盗み見られること、あとは実際にできるかどうかはわからないけれど、使用しているパソコンに侵入されること。可能性は低いかもしれないけれど、外部のネットワークを利用しているので0ではない。当然外部のネットワークを経由しなければ危険性は0に近しくなるのですが、今はそんなことは気にされずに、クラウド型のWeb会議システムで、公衆Wi-Fiに接続してWeb会議を行われているっていう。
実は盗聴というのはなかなかしづらくて、私たちのような独自システムは当然しづらいですし、栢野さんのところの標準化された通信方式でも、暗号化がされているのでなかなか難しい。盗聴されたという事例もあまり聞かないですし。でも逆に一度盗聴されると、そのデータを好き勝手に編集できてしまうでしょうから、人によっては犯人の悪意によって政治が動かされるくらいのことも心配された方がいいでしょう。
栢野:以前は私も、「実際に流れているデータを盗聴するのは至難の技です。それよりも会議室に盗聴器を仕掛けられることや、社員のモラルの方が心配です。情報漏洩という意味ではそちらの方が危ないですよ」とよくお客様に話していました。
それに加えてクラウドサービスの場合は、IDの管理をしっかりしておかないとIDが部外者に使われてしまうという懸念もある。取引先など、以前Web会議を行った社外の不特定多数の人や、先ほどカフェでWeb会議という話をしましたが、その際にIDを盗み見た人が簡単につながることができてしまう。そういうリスクもあると思います。だから例えば、会議ごとにIDとパスワードを変えるといった管理をしっかりやっていかないといけない。クラウドは誰とでも簡単に接続できるというところは手間が掛からず良いのですが、本来、会社の会議室に誰でも入れる状態って異常ですよね? 普通の会社だと必ずセキュリティチェックがあって、IDカードがないと会社自体に入れないはずなのに、クラウドだと一度使った仮想会議室にまた簡単に入れたりするといったことが起こりうる。このあたりは怖いところだなとは思ったりします。
–なるほど、その通りですよね。でも運用する上でそういうのをなかなか守っていただけないお客さんも多いですよね。
西畑:でも、日本人って大人しいですよね。アメリカだとZoom Bombingとか、荒らし行為をする人たち(インターネットトロール)も多いですけれど、やっぱり日本人はそんなわざわざ利益の無い他人の会議室に入って何かしてやろうみたいな人が総じて少ないのかなという印象なんですが。
栢野:そうですね。ただそのIDが、例えば政治的な活動をされている方のものだったりすると、ちょっと厄介ですよね。知られてしまうと。誰でも気軽にいろいろな人と接続するように設計されているので、そこがクラウドの良さではありますが、逆にウィークポイントにもなるのかなと。オンプレミスであればそのあたりのところも、UIをカスタマイズして、自社の運用に則したような使い方をすればいくらでも高めていくことができますので、そういった部分の違いは大きいかなと思います。
–またコロナの第6波がくるんじゃないかなんて言われていますが、今後オンプレミス型Web会議システムの立ち位置はどのようになっていくと予想されますか? もしくは、こうあるべきじゃないかみたいなご意見があれば。
西畑:どうですかね。オンプレミスの製品のニーズはどこにあると思われますか?
栢野:うーん、どこにというのがわかればすぐにでも行くのですが。ただ、今後の需要には期待しています。コロナによって一気にリモートワークが進んだおかげで、オンラインでのコミュニケーションというものが当たり前になったので、一旦は先ほど言ったように、セキュリティとか本来考えないといけないような課題を横に置いて、とりあえず使う方に走っていったと思うのですが、これからWeb会議システムをずっと使い続けていくにあたって、改めて課題として環境整備に取り組まざるを得なくなってくると思います。
働き方がハイブリッド型になってきたことによって、コロナが落ち着いてきたからオフィスでやるべきことはオフィスでやるっていうようなかたちで人が会社へ戻り始めてきた。そうするとオフィスとリモートワーカーをつないでいくという接続の仕方に変わってきて、そこで問題になってくるのが、オフィスの会議室設備。会議室の設備をしっかりとオンラインに対応させないといけないということで、会議室のAV機器を整備するような案件も増えてきています。それもあって少しオフィスへの投資も戻り始めたなっていう感触を持っています。ここから次に、セキュリティであったりとか、自分たちが本当にやりたいことをちゃんとやっていこうとなったときに、やはりクラウドでは難しいから自社でちゃんと構築したいというような感じで、オンプレミスにも目が向いていくと良いなと思っています。
西畑:なるほど。今、ああそうだ、それ忘れてたなという感じで、オンプレミスとASPのハイブリッド型FreshVoiceみたいなのが要るっていう風に、勝手にいいように解釈しています。
オンプレミスでWANを充てておけば、WANはキャパ使い放題なので、そこで好きなだけ社内会議を行って、外部との会議のみ、じゃあクラウドを使いますか?みたいな。Amazonのクラウドも高いので、そういうハイブリッドがあると、もしかしたら売りやすいのかもしれないと。あとはそれをぐるっと包んで自社のサービスにすればカスタマイズもできるし。独自性、ちょっと外部ネットワークも経由するけれど、中は守られるということでセキュリティ、そしてカスタマイズ性。この3つでいけますかね?
栢野:うーん、だと思いますね。
西畑:芽はあるんじゃないかな。コロナ早く落ち着かないかな。
栢野:正にそうですよね。
それともう少し、企業のコミュニケーションに対する扱いをもっとデリケートにというか、本来のそういうレベルに持っていくべきというような空気が欲しいなとは思います。
西畑:あ、激しく同意です。それって経営側の問題ですよね。日本の会社さんは、今は0か100かみたいなことをやっていますけど、ちょうど間に私たちのようないい蔓があるので、あとは使う側の工夫でしょうっていうところですよね。
栢野:バランス的に、適正なところに落ち着いて欲しいなと思います。
西畑:はい。マイク設備も、実は会議室はすごく難しい。
今栢野さんが使っている天井マイクとか、本来はすごくお金をかけてやるべきところなので。まあそこも本当にハイブリッドな働き方で戻ってくる人たちがいれば、当然そういう司令室にもっとお金をかけるようになるといいなと、私も思っています。
栢野:地方の会社の方がそのあたりにお金をかけているような気もします。
西畑:それはおっしゃる通りかもしれないです。でも現地に行ってみると、結構硬い床とか、道路沿いの窓とか音声を調節する上で恐いのものが待ってたりして。これはちょっと会議室の場所から作り替えませんかなんて言いたくなります。
栢野:そうですね(笑)
やっぱりこの天井マイクも役員室に採用いただいたり、あとは大きな設計図とかを広げたりするような会議の際に、テーブルの上にマイクを置きたく無いといった需要で、様々な会社に採用していただいています。
西畑:このあたりは音が好きな方じゃないと難しいですね、興味もあんまり無いだろうし。リモートワーク側は、1000円2000円のヘッドセットでもいいと思うのですが、会社はちゃんとしたマイクを使って欲しいなとは思っています。
うちも会議室でヤマハのマイクスピーカーを使っていますが、普通の方にはなかなか調整が難しいみたいで。多分、戻った途端に苦労されるんでしょうね。
栢野:ああいうのはそうですね。
ああ、あと、オンプレミスの良さがもう一つありました。クラウドは勝手にバージョンアップする。
西畑:そうそうそうそう。
栢野:ある日いきなりUIが変わったりとか、IPアドレスがクラウド側の都合で変わったりして、それでトラブルを招くことが多々あるのですが、オンプレミスだとそれを全部ユーザー側でコントロールできます。ちゃんと準備してからバージョンアップできるし、IPアドレスを変える時も周到に準備してから対応できるので、そこがオンプレミスの良さでもあるとうちの技術マネージャーは言ってますね。コントロールできるから、トラブルを未然に防ぐことができるということです。
–なるほど。
栢野:それから今のクラウドサービスの提供会社って外資系が多いじゃないですか。そうするとサポートデスクの対応が不十分だと。
–メールしても返ってこない、みたいなことでしょうか。
栢野:サポートが充実しているかどうかは、それなりの規模の企業でしたら割と大きなポイントになったりすると思います。情シスの担当者はトラブルを嫌うので。
–選定の過程でっていうことですよね。
栢野:はい。中小企業だとそのあたりはもう仕方がないみたいな割り切りもあるとは思いますが。
–なるほど。となると今後は、オンプレミスを導入しようとするのはもう大企業だけなのでしょうか? 従業員数500人以上とか、1000人以上とか。
栢野:いや、どうでしょう? でもやっぱり中小企業はコストの問題があるし、誰が管理するのかっていうヒューマンリソースの問題もあるので、それなりの規模感は要求される気はしますね。
–でも多分、5年10年と使い続けるとASPの方が高くつくのですよね?
栢野:まあだから、そのあたりの管理をちゃんと請け負うとか、そういう仕組みごと提供できれば中小企業にも受けいれられる余地はあると思いますね。
西畑:多分企業によってそれぞれなので、うちとしてはどっちも用意しておいて、まあできたらオンプレミスに流れてくれた方がいいみたいなところですよね。
–なるほど。わかりました。
それでは本日はこのあたりで。お時間をいただきありがとうございました。
西畑:ありがとうございました。
栢野:知らないこともありましたので、非常に勉強になりました。どうもありがとうございました。
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