Web会議の基礎知識
更新日:2022.06/10(金)
CCDとCMOSの違いをご存じでしょうか?
Webカメラには、映像を読み取るイメージセンサが搭載されています。
現在普及しているイメージセンサは、CCDとCMOSの2種類に大別されます。
双方のイメージセンサでは仕組みが異なるため、それぞれにメリット・デメリットがあります。
そこで、CCD及びCMOSイメージセンサの仕組みを踏まえた上で、技術的な違いやメリット・デメリット、さらには市場動向について解説します。
Webカメラに搭載されたイメージセンサは、センサの一種です。
まず最初に、センサとは何かや、イメージセンサの仕組みについて説明します。
カメラやスマートフォン等の電子機器に、センサが活用されています。
センサとは人間の感覚を人工的に再現する機器で、外部から物理量や化学量といった刺激を捉えます。
対象に感度よく応答したり、遠隔地へ情報の伝送したりすることが、センサに求められます。
センサの中でも、光を刺激として捉えるのがイメージセンサ(撮像素子)です。
電磁波の一種である光は波長(色)、位相、強度によって特徴づけられますが、イメージセンサは光の色と強度の分布を2次元的に検出します。
イメージセンサの材料として用いられるのが、半導体です。
電気の運び手が電子である「p型半導体」と、正孔が電気の運び手である「n型半導体」の2種類が使用されます。
これらの半導体では、温度や磁気、光や圧力などに対して敏感に電気伝導度が変わることから、いろいろな物理センサや化学センサの材料として広く使われます。
イメージセンサの基本的な仕組みは、
1. 光を電荷に変換し蓄積する
2. 電荷を転送する
3. 電荷を電気信号に変換する
という3つの過程からなります。
外から取り込んだ光の情報をデジタル処理する形へと変えるのに必要なのが、イメージセンサだと言えます。
かつて隆盛を誇ったCCDイメージセンサや現在主流のCMOSイメージセンサも、同じ仕組みを採用しますが、1.に関しては違いがありません。
n型半導体とp型半導体とを接合したpn接合に光検出機能を加えたフォトダイオードが、電荷を蓄積するために利用されています。
外から取り入れられた光を電荷へと変換するのが、フォトダイオード(フォトセル、フォトサイトとも呼ばれる)です。
フォトダイオードの接合部に光が照射されると、そのエネルギーを吸収し、p側とn側のそれぞれに、正孔と電子が移動します。
照射された光の強さによって発生する電荷の量が変化する光電効果のおかげで、光の量に比例した電圧が外部に発生します。
電荷結合素子(CCD)や相補型電界効果トランジスタ(CMOSFET)等を用いたイメージセンサには、フォトダイオードが規則正しく並べられ、画素(ピクセル)として機能します。
フォトダイオードの数が多いほど情報量の多い画像になり、高解像度の映像が得られます。
電荷を出力として取り出したときに、数100万、数1000万単位の各画素間で明暗が区別できます。
フォトダイオードがセンサとして機能するのは、このためです。
一方、光の色を刺激として検出するためには、光の波長をセンサが捉える必要があります。Vガラスを想像してください。
ガラスのような可視光線をすべて透過する物質は、透明に見えます。
物質に色が着くのは、可視光線が入射したときに、その一部を物質が吸収するからです。
人間は、吸収された可視光線の補色に相当する色を見ているのです。
センサの場合、色を識別するために、どのような波長の可視光線が含まれるかを測る必要があります。
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pn接合フォトダイオードによって蓄積された電荷は、情報として転送し、その電荷が検出される必要があります。
CCDやCMOSといったイメージセンサは、電荷の転送や検出も担いますが、その方式に違いが生じます。
CCD素子は、1970年にアメリカのベル電話機研究所のボイルとスミスによって発明されました。
当初メモリの一環として開発されたCCD素子ですが、1971年にやはりベル電話機研究所のトムセットにより原型となるCCDイメージセンサが開発されました。
日本ではソニーが1970年代後半に市販化を開始しました。
MOSイメージセンサにはノイズが大きく感度が低いという欠点があり、小型化かつ高性能化が可能なCCDイメージセンサがMOSイメージセンサを市場から追い出したのです。
CCDセンサの大きな特徴は、バケツリレーのように電荷を送信することです。フォトダイオードに蓄積した電荷は転送され、アナログ信号へと変換されます。
その原理を理解するには、自動販売機を思い出すといいでしょう。
自動販売機の缶ジュースのように、イメージセンサの一方の端で、電荷が下に移動して、列の一番下から外に出ます。
列の一番下から最後の電荷が外に出ると、2番目の列の電荷がシフトして、出て行った電荷の空きを埋めます。
3番目の列の電荷は、2番目の列に移動し、残りの列もそれに続きます。
イメージセンサから出てきた電荷の列は、読み出しレジスタによって検出され、増幅器に運ばれます。
増幅器に入った電荷は、さまざまな電圧の電流に変換されます。
電圧の変化により、フォトダイオードが集めた光のさまざまな強さがアナログ的に表現されているのです。
イメージセンサから出力したアナログ信号はA/Dコンバータでデジタル信号へと変換され、CCDが捉えた対象物がデジタル画像へと変化します。
CMOSイメージセンサは、MOSイメージセンサを元に開発されました。
1963年にハネウル社のモリソンが開発したフォトスキャナが始まりです。
MOSイメージセンサでは半導体中で電子あるいは正孔のいずれかで電荷が転送されていたのを、電子と正孔の両方を電荷の転送に用いることで高速化を図ったのが、CMOSイメージセンサです。
CMOSイメージセンサの多くは、画素に増幅機能をもたせたAPSと呼ばれるものです。
CMOSイメージセンサでは、電荷を蓄積するコンデンサが各画素と並行する形で配置され、画素に光が当たると光電効果によってこのコンデンサに電荷が蓄積されます。
CCDセンサでは、蓄積された電荷は、バケツリレーのように1カ所の増幅器へと転送されました。
それに対しCMOS型イメージセンサでは、各画素がもつ増幅器によって電荷が実際の電圧に代わるとすぐに、フォトダイオードの位置に対応したX-Y線のグリッド上で電圧が読み取られます。
電子回路によって直接測定可能な電圧に変換されたのち、A/D変換器へと送られます。
CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサはいずれも、光電効果を応用し、光を電気信号に変換します。
しかし電荷を転送する方法が両者で異なるだけでなく、それに応じてメリット・デメリットが生じます。
CMOSイメージセンサのデメリットとして、ノイズによる画質の低下が挙げられます。
各画素に備わった増幅器等の処理回路の電子構造には微小な差が存在するために、それぞれの出力信号には増幅率やオフセット値に差が生じてしまいます。
他方CCDイメージセンサでは、すべての画素に対して1つの信号処理回路がアナログ信号からデジタル信号へと変換処理するため、画質の点でメリットになります。
CMOSイメージセンサの感度限界がCCDイメージセンサに及ばないのは、このことが一因です。
またCMOSイメージセンサは、光を電気信号へ変換する効率が高くないという構造上の問題を抱えています。
各画素にはそれぞれの受光領域に対する読み出し電子回路が搭載されるため、CMOSイメージセンサの各画素内の受光面積が大きくありません。
ただし技術の進歩により、CMOSイメージセンサの受光領域の大きさは、CCDイメージセンサと遜色ない程度まで改善しました。
CMOSイメージセンサのメリットは、その飽和容量の大きさにあります。
1画素当たりに収容できる電子の数が大きいと、その分高繊細な画像を再現できます。
この飽和容量の大きさにより、CMOSイメージセンサのデメリットであった感度限界の悪さをカバーできます。
センサの感度限界と飽和容量の比率で計算されるダイナミックレンジは、結果的にCCDイメージセンサとCMOSイメージセンサとでは同レベルになる傾向があります。
CCDイメージセンサのデメリットとして、バケツリレー方式による電荷の転送では時間がかかるという構造上の問題が挙げられます。
他方CMOSイメージセンサでは、各画素で電荷が増幅器で実際の電圧へと変換されます。
画像情報を素早く読み出し可能なため、CMOSイメージセンサは高フレームレートでの撮影を可能にします。
さらにCCDイメージセンサは、強い光を撮影すると取得画像に影響の出るというデメリットを抱えています。
明るい画素から暗い画素に向けて光が拡散して見える「ブルーミング」や、非常に明るい光を受けると、電荷の転送方法の影響で画像に明るい縞が現れる「スミア」などの現象が発生します。
CMOSイメージセンサが主流となったのは、自身が抱えていた原理的問題をほぼ克服したのが大きいと言えるでしょう。
最後にCCDとCMOS双方の最近の市場動向を確認しましょう。
CMOSイメージセンサと比較すると、CCDイメージセンサはその構造が複雑であり、消費電力が大きく、かつ高額といった特徴をもちます。
デジタルカメラ(14M)での価格帯は、1個当たり1700円と推定されています(2011年)。
他方CMOSイメージセンサは安価であるだけでなく、性能の向上化にともない、一眼レフカメラなどでも高価なCCDイメージセンサに代わり採用されるケースが増えています。
CCDイメージセンサと同条件での価格帯は、1個当たり700円と推定されています。価格下落は今後も進むものと予想されます。
米国に本社をもつOmniVisionや、ソニー等のメーカーが、イメージセンサを製造しています。
ソニーは1970年にCCDを開発して以降、同市場で高いシェアを獲得してきました。
しかし2015年3月にCCD200mmウェハラインの生産終了を発表し、CMOSイメージセンサへの注力度をシフトさせました。
安価であるため民生品分野ではCMOSの導入が早くから進んでいましたが、長期の供給が求められる産業用カメラでもCCDからCMOSという流れが避けられませんでした。
CCDとCMOSイメージセンサの市場動向を、富士キメラ総研が資料にまとめています。
近年CCD/CMOSイメージセンサと一括して市場規模が掲載されたため統計が若干古いですが、CCDイメージセンサの世界市場規模は、2010年に700億円、2011年は550億円と、年々減少傾向にあります。
他方CMOSイメージセンサの世界市場規模は2010年には1920億円、2011年には2380億円と増加傾向にあります。この傾向は今後も続くものと思われます。
CCD、CMOSイメージセンサともに、外部から取り込んだ光を電気へと変換する点では共通します。
しかしCCDイメージセンサはバケツリレー方式で電荷を運ぶため、転送に時間がかかることや、CMOSイメージセンサに比べて高価であるというデメリットを抱えます。
一方CMOSイメージセンサは安価かつ高性能になった結果、民生品や産業用カメラでもCCDからCMOSへの移行が年々進んでいます。
<参考>
『センサデバイス/ソリューションビジネス市場調査総覧 2012』(富士キメラ総研)
『コンピューター&テクノロジー解体新書 : ビジュアル版』(ロン・ホワイト著)
『「センサ」のキホン』(都甲 潔, 小野寺 武, 南戸 秀仁, 高野 則之著)
「CMOSとCCD」(『画像ラボ』2015年5月号)
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