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更新日:2022.07/01(金)

自治体DXとは?推進までの手順・進め方を徹底解説、事例も紹介

自治体DXとは?推進までの手順・進め方を徹底解説、事例も紹介

自治体DXというワードを最近よくみかける方も多いのではないでしょうか。
本記事では自治体DXの進め方や推進計画、推進手順書、事例をご紹介させていただきます。

自治体DXとは?


自治体DXとは、蓄積されたデータやさまざまなデジタル技術を活用して業務の効率化や行政サービスの改善をおこなうことによって、住民により利便性の高い社会を提供する取り組みになります。

民間企業でもDX化は推進されていますが、DXは例えば単にペーパーレス化のためにデジタル技術の導入をするのではありません。

総務省から2020年12月25日に示された「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」において、自治体DX推進の意義が下記のとおり記載されています。

  • ・デジタル技術やデータを活用し、住民の利便性を向上
  • ・データ様式の統一化などを図り、行政の効率化・高度化を推進
  • ・多様な主体との連携により、民間のデジタルビジネスなどとの新たな価値を創出
  • ・デジタル技術やAIなどを活用し、業務効率化を図り、人的資源で行政サービスを向上

また、政府において2020年12月25日に決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」では、目指すべきデジタル社会のビジョンが下記のように示されました。

『デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会
~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~』
このように、とりわけ地域住民と密接に関わりがある自治体においてはDXの推進が重要と考えられています。

近年では、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、国民一人一人が10万円の給付金を受けられるという政策が行われました。
自治体DXが進めば、このようなケースで個別の申請書類などは不要となり、マイナンバーに紐づけられた口座に自動的に給付金が振込されるように変わるかもしれません。

そうなれば、申請書の内容を一枚ずつチェックしていた自治体職員も、空いた時間を別の政策立案などに充てることが可能です。
このようにマイナンバーカードなどのデジタル技術やデータを活用し、住民・職員の利便性を向上させることが自治体DXに求められる役割です。

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)って何?


DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、スウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏によって2004年に提唱された概念になります。
エリック・ストルターマン氏は発表した論文の中で「ITの浸透によって、人々の生活を多方面でより良い方向に変化させる」と定義されており、情報技術が現実世界のありとあらゆるものと結びついて変化を起こしつつあることを指摘しました。

また日本では経済産業省によって2018年に発表された「DX推進ガイドライン」のなかでは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用することによって、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務自体や組織、プロセス、企業文化や風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と記されています。

よくDXはデジタル化と同義と考えられる方がいますが、この2つには明確な違いがあります。

デジタル化とは単に書類の電子化や業務改善のためにシステムを導入することなどを意味します。
DXはデジタル技術を活用して製品やサービス、業務フローそのものを変革して新しい価値を生み出すことを意味します。

そのため、デジタル化やIT化という言葉はDXの中のプロセスの一部という位置づけになります。
DXでは単にデジタル化やシステム導入がゴールになるのではなく、デジタル化をすることによって、顧客や社会のニーズに合わせて社内外問わず新しい変革をもたらすことを目指す必要があります。

自治体DX推進で取り組むべき6つの「重点取組事項」


2020年12月25日に閣議決定された「デジタルガバメント実行計画」における各自治体の施策について、特に重点的に取り組むべき内容や政府による支援策についてまとめ、策定された計画を自治体DX推進計画といいます。
自治体DX推進計画では、国と自治体が足並みをそろえ、情報システムの標準化や高度化など、DX推進に必要な施策を着実に進めていくことを目的としています。

自治体DX推進計画では、各自治体で重点的に取り組むべき内容を6つの「重点取組事項」として定めています。
今回はそれぞれの6項目の内容について詳しく解説していきます。

 1.自治体の情報システムの標準化・共通化


自治体DXにおいて、各自治体が独自にDXを進めてしまうとDX速度の違いや導入効果の違いなどさまざまなデメリットが発生してしまいます。

デメリットを回避するために2025年のガバメントクラウド活用に向けて、国が策定する標準仕様に準拠した自治体がメインで利用する17の基幹業務システムを移行することになっています。

統一化、標準化したシステムを導入することによって今まで各自治体が独自に運用・管理していた負担を軽減することができ、職員の業務改善と住民への利便性向上を期待することが可能です。

17の基幹業務システムとは、以下の項目です。

・住民記録
・児童手当
・選挙人名簿管理
・固定資産税
・個人住民税
・法人住民税
・軽自動車税
・就学
・国民健康保険
・国民年金
・障碍者福祉
・後期高齢者医療
・介護保険
・生活保護
・健康管理
・児童扶養手当
・子ども・子育て支援

普段私たちが何気なく使用している行政サービスですが、これらを自治体DXを進めていくことによってより快適に使用しやすいサービスになっていくことが期待されています。

2.マイナンバーカードの普及促進


現在ではマイナポイントの付与などで普及率が高くなっているマイナンバーカードですが、まだまだ世間一般に普及しているのかと言われればそうではありません。

自治体DXをおこなっていくことによって、マイナンバーカードの申請の促進、加えて交付体制を充実させることが自治体DXにおける重要事項に位置づけられています。

現在のところ、住民の本人確認をオンラインでおこなうことができないため、マイナンバーカードを普及させることによってこの課題を解決しようとしています。

3.自治体の行政手続オンライン化

まだまだ書類ベースでの手続きが一般的な行政手続きにおいて、これらをオンライン化することも注目されています。

具体的なオンライン方法としては、地方公共団体を始めとした団体の手続きに利用できるマイナポータルの「ぴったりサービス」の活用、処理件数が多い手続きを率先してオンライン化していくこと、住民の結婚などのライフイベントに関わる手続きをシンプルにオンラインでおこなえるようにすることなどが行政のオンライン化には求められているステップになります。

4.自治体のAI・RPAの利用促進


各自治体のシステムの標準化や共通化、マイナンバーカードの普及によるオンライン手続き化と合わせてAIやRPAを導入することによって業務をより効率的に簡略化することも求められています。

処理に時間がかかるものや手続きが煩雑なものに関しては、AIやRPAを導入することによって自治体側も住民側も負担なく簡単に申請・交付などの処理ができると期待されています。

AIやRPAを導入する際には総務省によって発行されている「AI・RPA導入ガイドブックの策定」を参考にして導入することになっています。

5.テレワークの推奨


民間企業では感染症の流行によってテレワークの導入がおこなわれ、新たな働き方として注目されました。
しかしながら自治体ではオンライン化やデジタル化が民間企業と比較すると遅れているため、テレワークの導入が十分ではないケースが多いです。

自治体であっても職員1人1人が自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現するためにテレワークの推奨がなされています。
また、自治体の場合には災害時などの非常事態における業務継続のため、BCPの観点からもテレワークを始めとした新しい働き方の導入が重要視されています。

6.徹底したセキュリティー対策


システム導入やデジタル化などで自治体DXを進めていくにあたってセキュリティー対策は無視することができません。
自治体では住民の個人情報を扱っている部署もあるため、徹底したセキュリティー対策が求められます。

各自治体は、「地方公共団体における情報セキュリティーポリシーに関するガイドライン」に則り、セキュリティーポリシーの見直しと情報セキュリティー対策を徹底することになります。

クラウド活用する場合には、総務省が要求するセキュリティーレベルを満たす民間サービスに移行することも重要になります。

自治体DX推進の進め方5つのポイント


自治体DX推奨で取り組むべき6つのポイントをそれぞれご紹介してきましたが、では実際に自治体DXはどのように進めていくのでしょうか?

ここでは自治体DX推奨の5つの進め方について、それぞれのステップ別に詳しく解説していきます。

 1.DXに関する認識の共有・機運醸成


まず自治体DXを推進するためには何よりDXに関する理解や認識の共有が必要不可欠です。
首長や幹部職の方がしっかりと自治体DXとは何かを十分に理解して、リーダーシップを発揮して率先して自治体DXを推進していくことが重要です。

また、首長や幹部職以外でも自治体単位でしっかりとDXについての理解や認識が浸透している必要もあります。
そして自治体DXで大切なのは、DXした結果としてどのようなメリットや利便性を住民に与えることができるのか、そのために何をしなければならないのかを考えることが何より重要になってきます。

 2.全体方針の決定


しっかりとDXについての認識が共有できた後は、大枠の方針を決めていくことになります。
DXの場合には一度に全てを同時並行的におこなうのではなく、重要度に応じて順次DXを進めていく方が上手くいくことが多いです。

そのため自治体がDXをおこなう際には、「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」にて提示されている自治体DXを推進する意義を参考にして、現状を分析してビジョンに落とし込んでいくことが重要になります。

ビジョンに落とし込むことができたらどのように取り組んでいくのか、また大まかなスケジュールなどを工程表などにまとめていくことになります。

 3.推進体制の整備


大まかなスケジュールやビジョンがまとまった段階で、実際の推進体制を整備していくことになります。
DXを推進していくトップとして部門やリーダを任命するのはこのステップになります。

もしも自治体内でデジタル人材と呼ばれるIT知識に長けている人材が不足している場合には、外部人材を検討してみることもおすすめします。

 4.DX取り組みの実行


実際にDXの取り組みをおこなっていくステップになります。
実際に取り組んでいく際にはPDCAサイクルを回しながら進捗を管理していくこと、OODAループを活用して、意思決定のスピードを迅速におこなっていくことが推奨されています。

OODAとは、Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(判断)、Act(行動)の頭文字を取ったものになり、PDCAと比較すると計画を立てるステップがないため、迅速な判断が求められるサイクルとなります。

実行する際にはPDCAとOODAのバランスを考えながら実行していく必要があります。

 5.DX導入後の経過観察


導入後にどのような変化があったのかを観察することも重要です。
多くの場合には段階的にDXをおこなっていくことになりますので、導入後にしっかりと振り返りをおこなうことによって次回のアクションをより効率的なものにすることが可能です。

自治体DXの3つの参考事例

現在ではさまざまな自治体でDXがおこなわれています。
そんなたくさんおこなわれている自治体DXの事例について3つ参考事例としてご紹介します。

1.広島県

広島県ではデジタル化は3つの段階に分類されることに着目しました。
そこでデジタル化のデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタル・トランスフォーメーションそれぞれが「課題解決にデジタル技術の活用を検討し実行するもの」と整理しました。

デジタル技術の活用をスタートとするのではなく、目的と現状のギャップを課題と位置づけることによってビジネス起点の考え方で新たな価値の創出を目指すことを決めました。

2.宮城県仙台市

仙台市では、「できることはすぐ実行」のスローガンのもと、デジタル化ファストチャレンジとして3つの取り組みを実施しました。

1つめは窓口手続きのデジタル化。
押印の廃止や添付書類の簡素化、キャッシュレス決済の導入などを進めました。

2つめはデジタルでつながる市役所。
市民対応にモバイル端末を活用する、子育て相談をオンラインでおこなうなど実際に市役所を訪れることなく行政サービスを利用することができる環境を構築しました。

3つめはデジタル化で市役所業務の改善。
民間企業と同じようにWeb会議システムやAIやRPAの導入・活用などをおこない、より働きやすくする環境を整えました。

3.兵庫県神戸市

神戸市ではDX推進に当たって、デジタル人材の確保・育成から庁内のICTリテラシー向上の裾野を広げる取り組みまで、多面的なアプローチでDX人材の確保・育成を図ることとしています。

庁内で職員が希望する業務への従事を可能とする庁内公募制度として、DX人材育成コースを新設し、該当者に対して研修や実務を通じて、集中的にICTスキルの向上を図り、DX推進に実際に関与してもらうことになりました。

また庁内のICTリテラシー向上の観点からは基礎的なICTスキルを養成するために、研修動画をまとめたポータルサイトの準備や、入庁年次ごとに研修の受講、1週間程度の民間企業への派遣など継続的に意識啓発を図ることを進めています。

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