Web会議の基礎知識
更新日:2022.06/10(金)
この記事では、WebRTCの基礎知識とその仕組みについて分かりやすく解説します。WebRTCについて調べている方を支援する記事となっています。
WebRTCと、ブラウザ型Web会議システムの理解にぜひご活用ください。
ブラウザ型Web会議システムは、WebRTCというインターネット技術によって支えられています。WebRTCは、Webブラウザ上で音声や映像など大容量のデジタルデータを、リアルタイムに送受信できる技術です。
従来のオンプレミス型やクラウド型(ASP型)のWeb会議システムは、専用のソフトウエアやアプリケーションが必要で、利用者全員がインストールしなければならず、また、使用しているデバイスのOSやキャリアが対応していない場合には、そのWeb会議システムを利用することができませんでした。
しかし、WebRTCの技術が開発されたことによって、無料で利用できるWebブラウザを使いインターネットに接続できれば、ほぼどの端末からでも世界中の人と簡単にリアルタイムなコミュニケーションを取ることが可能になったのです。
目次
WebRTCとは、「Web Real-Time Communication」の略称で、HTMLのAPIのひとつです。
映像や音声などの大容量のデータをリアルタイムに送受信できることに加え、不特定多数の人がファイルなどを送受信することが可能な仕組みが備わっています。
映像や音声といったデータをリアルタイムでやり取りする規格そのものは、WebRTCが誕生する前から存在していました。
その代表的なものが「Skype」や「LINE」のビデオ通話です。
「Skype」は世界的に知名度の高いアプリとして有名で、インターネットの通信網を利用して音声通話を行うIP電話です。「LINE」のビデオ通話も同様の規格を利用しています。
これら2つのアプリは、会社がソースコードを占有するクローズド規格です。
それに対してWebRTCは、ソースコードが公開されているオープン規格です。
オープン規格ということは、ライセンス等の金銭的な障壁もなく、あらゆる人がこの規格を利用することができるため、WebRTCをソフトウエアなどの開発に組み込むことができます。
WebRTC=リアルタイムコミュニケーションってどんな技術?
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WebRTCという言葉が注目されるようになったのは、2013年のことです。
W3C(World Wide Web Consortium)というインターネットの技術の標準化を進める団体が、リアルタイムコミュニケーション用のAPIの定義として提唱したものです。
この定義が生まれた背景には、HTMLなどのプロトコルがインターネットの普及を押し上げたことがあります。やがてコミュニケーション機能がAPI化したことで、ソフトウエアの開発が簡単にできるようになりました。
こうしたソフトウエア開発に対する、標準パッケージとしてWebRTCが誕生。
W3CとIETF(Internet Engineering Task Force)の2つの団体によって、リアルタイム通信を実現するため、WebRTCの標準化が進められてきました。
2021年1月時点で、Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Safariなど主要なWebブラウザで実装が済んでおり、WebRTCが正式な標準仕様に到達したことがW3CとIETFによって公式に発表されました。
では、WebRTCはどのような仕組みでリアルタイム通信を可能にしているのでしょうか?WebRTCの基本の通信方式は、P2P(Peer To Peer)というものです。P2P方式について詳しく見ていきましょう。
P2P方式は、端末同士が直接データの送受信をする方法です。直接的に送受信が行われるためリアルタイム性が高く、大きなデータでもオリジナルサイズで送受信が可能です。
しかし複数の端末をつないだ場合に、全ての端末と送受信を行うため、通信量が膨大になり、ネットワークと端末への負荷が大きくなってしまいます。そのため、P2P方式では多拠点同時接続が難しく、一度に接続できる拠点数に限界があるのです。
WebRTCの基本通信であるP2Pは端末同士が直接データのやり取りを行うため、セキュリティ面に不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、WebRTCはSRTPという技術でセキュリティを確保しています。
SRTP(Secure Real-time Transport Protocol)は、RTP(Real-time Transport Protocol)のセキュア版です。RTPとは、IPネットワーク上でリアルタイムに音声や映像などのデジタルデータを転送するベーシックな通信規格のことです。
SRTPの機能を簡単にご紹介すると、まずデータを暗号化して秘匿性を保ちます。そして相手がデータを受け取った際に、そのデータは送り手が送信したものであり、第三者による改変が加えられていないことを見分ける認証を行います。かつ、認証の中に固有の識別番号を含めることで、なりすまし(リプレイ攻撃)を防ぐという仕組みです。
このようにWebRTCは基本のデータの送受信にセキュアなプロトコルを使用しているため、Webブラウザ上で行うP2P通信でも、安心してリアルタイムにデータのやり取りを行うことが可能になっています。
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前述のように、WebRTCの基本の通信方式であるP2P方式では、一度に接続できる拠点数に限界があります。しかし、実際にはWebRTCを利用したブラウザ型のWeb会議システムでも、多拠点接続が可能な製品もあるのです。
そういった製品は、どのようにして多拠点接続を可能にしているのでしょうか?
答えは、接続方式の変更です。P2P方式ではなく、クライアントサーバー方式を採用し、サーバーを介してデータを送受信することで多拠点接続を実現しています。
では、クライアントサーバー方式とは何かを詳しく見ていきましょう。
クライアントサーバー方式は、サーバーへ情報をリクエストする「クライアント」と情報の処理を行う「サーバー」に役割が分かれています。
クライアントとはパソコンなどの端末を指し、ユーザーがクライアントを通してサーバーへデータをリクエストすると、サーバーからクライアントへデータが送られユーザーがそれを目にすることができる仕組みです。
WebRTCでクライアントサーバー方式を採用する場合、以下の2つの選択肢があります。
1つ目は、SFU(Selective Forwarding Unit)方式です。
SFUサーバーを経由して音声や映像などをやり取りするのですが、送受信の相手がサーバーになるだけで、サーバーでのミキシングなどは行いません。
つまり、複数拠点を接続した場合、音声や映像を相手に送る「上り」の通信は、サーバーへの1本のみになるのですが、相手からの映像や音声を受け取る「下り」の通信は、接続している拠点数分になります。そのため、あまり多くの拠点を繋ぎすぎると、「下り」の通信容量が膨大になりすぎて、サーバーとの通信速度が遅くなってしまうことも。
しかしSFU方式でも、数十拠点の同時接続をしても品質を維持している製品もあります。これはなぜ可能かというと、サプレッションに似た仕組みを採用し、あらかじめ同時発言できる上限人数を決めておき、発言している人の音声と映像だけを送受信するようにして、「下り」の通信容量を抑えているのです。
2つ目は、MCU(Multi-point Control Unit)方式です。
MCUサーバーは、SFUサーバーとは異なり、音声や映像をサーバー内で合成してから各端末と送受信を行います。そのため、「上り」の通信も「下り」の通信もそれぞれ1本で済み、参加人数が大幅に増えても端末負荷や通信量が増えず、モバイル端末であっても快適な多拠点会議を行うことが可能です。
デメリットとしては、P2Pのようなリアルタイム感が損なわれる点と、ミキシングによってサーバーへ負荷が集中するため、ハイスペックなサーバーを用意しなければならない点でしょう。
本来WebRTCを利用するブラウザ型Web会議システムは、ベンダーにとっても手軽に企画・開発ができる製品なのですが、MCU方式にすると、まずハイスペックなサーバーの導入が前提となり開発費用が一気にかさみます。実際のところ、MCU方式のブラウザ型Web会議システムはほとんど存在していません。
ブラウザ型Web会議システムの強みは、ソフトウエアやアプリケーションのインストール無しに、どんな端末からでも簡単にWeb会議を行えること。そのため、現場のインスタントな打ち合わせや、初めての相手とやりとりを行う新規営業やカスタマーサポートなど、参加人数が少なく、手軽さが重視されるシーンに最もマッチします。
一方、多人数でのMTGや、高い品質が求められる重要な会議には不向きです。
もともとP2P方式をベースとした技術なので、そもそもたくさんの拠点を同時接続することは想定されていませんし、品質を重視するのであれば、高性能なサーバーを使ったクラウド型(ASP型)やオンプレミス型のWeb会議システムの方が、もっとハイクオリティなWeb会議を行うことができます。
Web会議システムの導入を検討する際には、利用シーン、手軽さ、同時接続数、品質といったポイント中から何を優先するのかを明確にして製品を選ぶようにしましょう。
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