Web会議の基礎知識

更新日:2020.10/23(金)

インストール不要のブラウザ型Web会議の仕組みは?

Web会議システムといえば、これまでは、自社専用のサーバーを用意するオンプレミス型か、ベンダー共有のサーバーを利用するクラウド(ASP)型が主流でした。
そんなWeb会議システム業界で、ここ数年勢力を伸ばしつつあるのが、ブラウザ型Web会議システムです。
オンプレミス型やクラウド(ASP)型の場合は、専用のソフトウエアやアプリケーションのインストールが必要になりますが、ブラウザ型の場合は、Google ChromeやFirefoxといった、普段利用しているパソコン、あるいは、スマホやタブレットのブラウザからそのままWeb会議を行うことができます。
そのため、導入の手間がかからず、また、これまで通り、社内会議やクライアントとの打ち合わせに利用できるのはもちろん、新規営業やカスタマーサポートへの活用もできるため、働き方改革への貢献度も高く、現在、需要が高まってきているのです。
では、ブラウザ型Web会議システムには、どのような技術が使われているのでしょうか? 品質や安全性についても合わせて解説していきます。

ブラウザ型Web会議システムを支える技術は「WebRTC」

「WebRTC」とは、「Web Real-Time Communication」の略称です。プラグインを使用せず、名前の通り、Webブラウザ上で、リアルタイムに音声や映像、その他のデジタルデータを通信できるようにする技術のこと。
W3C(World Wide Web Consortium)と、IETF(Internet Engineering Task Force)という、2つのインターネット技術の標準化を推進する団体によって、標準化作業が行われていて、現在、Chrome、FireFox、Operaのブラウザにて、この技術を使用することができるようになっています。

冒頭でお伝えしたように、従来のオンプレミス型やクラウド(ASP)型のWeb会議システムを利用するには、専用のソフトウエアやアプリケーションが必要で、参加者であってもインストールしなければならず、また、使用している端末のOSやキャリアが対応していない場合には、そのWeb会議システムを利用することができませんでした。
しかし、「WebRTC」の技術が開発されたことによって、ほぼどの端末からでも利用できるWebブラウザを使って、世界中の人と簡単にリアルタイムなコミュニケーションを取ることが可能になったのです。

「WebRTC」の通信の仕組み

P2Pとクライアント・サーバの違い

「WebRTC」の基本の通信方式は、P2P(Peer To Peer)です。P2P方式では、サーバーを介さずに、端末(Peer:同等の者)同士が直接データのやり取りを行います。
ちなみに、P2Pと対象的な方式が、クライアント・サーバー方式です。クライアント・サーバー方式では、端末とサーバーの間でデータの送受信を行い、端末同士が直接データのやりとりをすることはありません。

P2P方式のメリットは、サーバーを経由しないのでリアルタイム性が高く、また、ほぼオリジナルの大きなデータを送受信することができる点です。
対して、デメリットは、複数の端末をつないだ場合に、全ての端末と送受信を行うため、通信量が膨大になり、ネットワークと端末への負荷が大きくなる点。そのため、P2P方式では多拠点同時接続が難しく、一度に接続できる拠点数に限界があります。

P2P方式ということで、セキュリティ面に不安があるという方もいらっしゃるかもしれませんが、「WebRTC」はセキュリティ面でも安心です。
IPネットワーク上で、リアルタイムに音声や映像、その他デジタルデータを転送するためのベーシックな通信規格をRTP(Real-time Transport Protocol)と言うのですが、「WebRTC」では、このセキュア版である、SRTP(Secure Real-time Transport Protocol)のみを使用します。
SRTPの機能を簡単にご紹介すると、まず、データを暗号化して、秘匿性を保ちます。そして、相手がデータを受け取った際に、そのデータは、送り手が送信したものであり、第三者による改変が加えられていないことを見分ける認証を行い、且つ、認証の中に固有の識別番号を含めることで、なりすまし(リプレイ攻撃)を防ぐのです。
このように、「WebRTC」では、基本のデータの送受信にセキュアなプロトコルを使用しているので、Webブラウザ上で行うP2P通信でも、安心してリアルタイムなデータのやり取りを行うことができます。

ブラウザ型Web会議システムで多拠点接続を行う方法は?

SFUとMCUの違い

上の項目で、「WebRTC」の基本の通信方式は、P2Pで、P2P方式では、一度に接続できる拠点数に限界があるとお伝えしました。しかし、実際には、ブラウザ型のWeb会議システムでも、多拠点接続が可能な製品もあります。
そういった製品は、どのようにして多拠点接続を可能にしているのでしょうか?
答えは、接続方式の変更です。P2P方式ではなく、クライアント・サーバー方式を採用し、サーバーを介してデータを送受信することで、多拠点接続を実現しています。

「WebRTC」で、クライアント・サーバー方式を採用する場合、以下の2つの選択肢があります。
1つ目は、SFU(Selective Forwarding Unit)方式です。
SFUサーバーを経由して音声や映像などをやり取りするのですが、送受信の相手がサーバーになるだけで、サーバーでのミキシングなどは行いません。
つまり、複数拠点を接続した場合、音声や映像を相手に送る「上り」の通信は、サーバーへの1本のみになるのですが、相手からの映像や音声を受け取る「下り」の通信は、接続している拠点数分になります。そのため、あまり多くの拠点を繋ぎすぎると、「下り」の通信容量が膨大になりすぎて、サーバーとの通信速度が遅くなってしまうことも。
P2Pとの違いがわかりにくいかもしれませんが、P2Pよりは少し多くの拠点を同時接続でき、且つ、P2Pのリアルタイム感を損なわずに通信を行えるのが、SFUであるという認識で、ほぼほぼ問題ありません。
また、SFU方式でも、数十拠点の同時接続をしている製品もあります。これは、サプレッションに似た仕組みを採用し、あらかじめ同時発言できる上限人数を決めておき、発言している人の音声と映像だけを送受信するようにして、「下り」の通信容量を抑えているのです。

2つ目は、MCU(Multi-point Control Unit)方式です。
MCUサーバーは、SFUサーバーとは異なり、音声や映像をサーバー内で合成してから、各端末と送受信を行います。そのため、「上り」の通信も「下り」の通信もそれぞれ1本で済み、参加人数が大幅に増えても、端末負荷や通信量が増えず、モバイル端末であっても快適な多拠点会議を行うことが可能です。
デメリットとしては、P2Pのリアルタイム感が損なわれる点と、ミキシングによってサーバーへ負荷が集中するため、ハイスペックなサーバーを用意しなければならない点でしょう。本来、「WebRTC」を利用するブラウザ型Web会議システムは、ベンダーにとっても手軽に企画・開発ができる製品なのですが、MCU方式となると、まず、ハイスペックなサーバーの導入が前提となり、開発費用が一気にかさみます。そのため、実際のところ、MCU方式のブラウザ型Web会議システムはほとんど存在していません。

ブラウザ型Web会議システムは、どんなシーンにマッチする?

どんなシーンにマッチする?

ブラウザ型Web会議システムの強みは、ソフトウエアやアプリケーションのインストール無しに、どんな端末からでも簡単にWeb会議を行えること。そのため、現場のインスタントな打ち合わせや、初めての相手とやりとりを行う新規営業やカスタマーサポートなど、参加人数が少なく、手軽さが重視されるシーンに最もマッチします。

逆に、多人数でのMTGや、高い品質が求められる重要な会議には不向きです。
もともと、P2P方式をベースとした技術なので、そもそもたくさんの拠点を同時接続することは想定されていませんし、品質を重視するのであれば、高性能なサーバーを使ったクラウド(ASP)型や、オンプレミス型のWeb会議システムの方が、もっとハイクオリティなWeb会議を行うことができます。

Web会議システムの導入を検討される際には、どのようなシーンで使うのかや、手軽さ、同時接続数、品質といった中から、どの点を優先するのかでタイプ、製品を選ぶようにしましょう。
どのタイプのWeb会議システムを選ぶべきなのかわからないというご担当者様は、ブラウザ型・クラウド(ASP)型・オンプレミス型の全ての製品を取り揃えている弊社エイネット株式会社へ、まず一度ご相談ください。

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