Web会議の基礎知識
更新日:2022.05/31(火)
テレワークの普及によって、よく耳にするようになった「インターネットVPN」。会社のVPNに接続して、テレワークをしているという方もいることでしょう。
しかし、説明どおりに設定を行っただけでインターネットVPNとはどのようなものか分からない方も多いのではないでしょうか。VPNを安全に使用するためには、使用者が正しい知識を持つことが大切です。
本記事では、インターネットVPNとIP-VPNの違いと仕組みに関する下記の項目について詳しく解説します。
・VPNとはどのような仕組みなのか
・インターネットVPNにおける4つの通信方法
・IP-VPNとの違い
・使用するうえでの注意点やメリット・デメリット
・おすすめのVPNサービス
インターネットVPNとはどのようなものか理解を深めるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
インターネットVPNとはどのような仕組みなのか、よく分からないという方もいることでしょう。ここでは、VPNの詳しい仕組みと4つの代表的な通信方法について、解説します。
VPNとは名前のとおり、仮想的なプライベートネットワークを構築する技術のこと。インターネットは、すべての方がアクセスできる通信です。
インターネット上でデータのやり取りを行うと、インターネットにアクセスするすべての方にデータが漏洩するリスクがあるため、対策が欠かせません。
そこで、VPNを使用します。
VPNの主な機能は、「トンネリング」「カプセル化」「暗号化」の3つ。そして、VPNの通信は、下記の順序で行われています。
専用のルーターやソフトウェアを用いて、外部から見えない専用のトンネルを構築。
トンネルを通るデータを、外から見えないようにカプセル化。
カプセルを暗号化して、データをやり取り。
これが、VPNの仕組みです。
VPNによって、高いセキュリティを維持してデータのやり取りを行うことができます。
インターネットVPNには、暗号化の方法やプロトコルの違いによって、下記の4つの通信方式があります。
IPsec-VPN
L2TP/IPsec
SSL-VPN
PPTP
それぞれの特徴について、見ていきましょう。
IPsec-VPNとは、「IPsec(Security Architecture for Internet Protocol)」を用いたVPNのこと。データは、インターネット上でやり取りされる際「IPパケット」という箱に分けられます。
このIPパケットを暗号化することで、安全に通信を行うプロトコルがIPsecです。
IPsecそのものに暗号化の機能が備わっており、暗号も複雑なためセキュリティが高いのも特徴。また、ネットワーク層のプロトコルで暗号化するため、多くのアプリケーションなどで動作します。
つまり、IPsec-VPNは、速度やセキュリティの面で優れていることがメリットの通信方式です。
L2TPとは、「Layer 2 Tunneling Protocol」の略称であり、データリンク層で仮想トンネルを作成し、通信を行うプロトコルです。
L2TPには暗号化機能がないため、IPsecと組み合わせることで暗号通信を行います。
L2TP/IPsecの最大の特徴は、互換性の高さ。データリンク層のPPPパケットを、ネットワーク層で暗号化することで、さまざまなプロトコルの処理を行うことが可能です。
しかし、2つのプロトコルを併用しているため処理も2回行わなければならず、通信速度が遅くなるというデメリットもあります。
SSL-VPNとは、「SSL(Secure Sockets Layer)」を使用して通信を行うVPNです。
SSLは、通信を暗号化する機能があり、主にWeb上の通信が対象。WebサイトのURLで、「HTTP」と「HTTPS」という2つの文字を見たことがある方もいることでしょう。
これにはSSLの暗号化が関係しており、HTTPが暗号化されていないページ、HTTPSが暗号化されているページです。
SSLの特徴は、Webブラウザがあれば通信が可能なこと。特別なソフトウェアや知識が不要なため、VPN環境の構築を簡単に行うことができます。
しかし、Webに依存しているため、Web対応のアプリケーションしか使用できません。
また、SSLには使用するアプリケーションなどによって「リバースプロキシ型」「ポートフォワーディング型」「L2フォーワーディング型」の3つの接続方式があります。
「PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)」とは、Microsoft社によって開発されたプロトコルのこと。Windowsで初めて導入されたVPNプロトコルであり、古くからWindowsに標準装備されています。
PPTPの特徴は、多くのデバイスで使用ができることや通信速度が速いこと。しかし、古いプロトコルであるため、セキュリティ面で問題があるというデメリットがあることに注意しなければいけません。
PPTPの認証方法である「MS-CHAPv2」の脆弱性が報告されています。
また、セキュリティの設定によっては、ファイアウォールなどによって通信がブロックされるといったデメリットもあります。
インターネットVPNとIP-VPNには、大きな違いがあります。
その違いとは、拠点間を接続するためにトンネルを構築する場所。インターネットVPNはその名のとおり、一般的なインターネット上にVPNトンネルを構築して、通信を行います。
一方でIP-VPNのトンネルは、インターネット上には構築しません。
IP-VPNのトンネルは、通信事業者が保有する閉域IP網に構築します。
閉域IP網には、通信事業者とその契約者のみがアクセスでき、インターネットのようにすべての方が自由にアクセスできる場所ではありません。
そのため、安全性やセキュリティ、金額などにも違いがでてきます。
VPNサービスを選ぶ際は、それぞれのメリットやデメリットを把握したうえで、用途にあったVPNを選ぶことが大切です。
インターネットVPNは、サーバー側とクライアント側の2つ設定が必要です。
それぞれの設定について、解説します。
サーバー側の設定では、VPN対応のルーターが必要です。下記の4つのポイントで、ルーターを選びましょう。
どのVPNプロトコルに対応しているか
セキュリティ機能の種類
運用にどれくらいのコストがかかるか
運用管理は簡単か
それぞれの要件に合うルーターを、選択しましょう。
クライアント側の設定は、OSによって違います。ここでは、Windows10の場合の設定方法について解説します。
早速ですが、クライアント側でのVPN設定は下記のとおり。
「設定」を開き、「ネットワークとインターネット」を開く。
左のメニューから「VPN」を選択し、「VPN接続を追加する」をクリックする。
VPNサービスを使用している場合は、「VPNプロバイダ」に必要情報を入力する。
「接続名」に任意の名称を入力し、「サーバー名またはアドレス」に接続先のサーバー名かIPアドレスを入力する。
「ユーザー名」と「パスワード」に、認証を行うアカウント情報を入力する。
以上で、設定は完了です。
インターネットVPNを使用するうえで、注意しなければいけないことがあります。
そのなかでも、とくに重要な注意点4つを紹介します。
インターネット回線の混雑
ルーターの設定・管理にかかる手間
ネットワーク上の障害
不正アクセス
それぞれの注意点について、詳しくみていきましょう。
インターネット回線を使用して通信を行なっているため、使用している回線が混雑している場合インターネットVPNの通信にも悪影響がでる恐れがあります。
回線の混雑は、使用している回線にアクセスが集中することなどによって起こり、特定の時間や場所などアクセスが集中する原因はさまざまです。
いつどのような状況で、回線が混雑するかは分かりません。回線の混雑具合によって、通信品質が左右されるということを頭に入れておきましょう。
接続方法にもよりますが、インターネットVPNを使用するためにはルーターの設定や管理を行う必要があります。
手軽に始められる一方で、インターネットVPNへの接続には設定や管理に手間がかかることに注意しましょう。
ルーターの設定や管理には、ある程度の専門的な知識が必要です。また、設定や管理を行うための人員も用意しなければいけません。
難しいと感じた場合は、インターネットVPNサービスの利用なども検討してみましょう。
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ネットワーク障害が発生することによって、インターネットVPNへの接続が困難になる可能性があります。
自身でVPNの環境を構築した場合、ネットワーク障害が発生した際に自身で問題を解決しなければいけません。
ルーターやパソコンの設定ミスや故障など、ネットワーク障害の原因はさまざまです。原因の解明や復旧には時間がかかる恐れがあり、その間はインターネットVPNに接続できません。
このような問題が起こる可能性があることも、意識しておく必要があります。
VPNとは、ほかの方からは見えないトンネルを構築して、そのなかでデータのやり取りを行う通信方法です。本来は、他者が不正にアクセスすることはできません。
しかし、不特定多数の使用者がいるインターネット上にVPNトンネルを構築する関係上、どうしても不正アクセスを確実に防ぐことはできません。
不正アクセスを防ぐには、認証の強化や使用者の意識が大切です。
環境を整えるだけでなく、VPNの使用者の教育も行う必要があります。
さまざまな特徴があるインターネットVPNですが、使用するうえでメリットとデメリットが存在します。
上手に使用するためには、それぞれをきちんと把握しておくことが大切です。
インターネットVPNのメリットとデメリットについて、詳しくみていきましょう。
インターネットVPNを使用するメリットには、下記の2つがあります。
低価格
プロバイダが混在していても稼働する
それぞれ、どのようなものか詳しくみていきましょう。
インターネットVPNの最大のメリットは、低価格ということ。トンネルを構築する場所が既存のインターネットであるため、IP-VPNのように専用の回線を使用する必要がありません。
そのため、月額の費用が安い傾向にあります。
IP-VPNの場合、十数万円の初期費用と数万円の月額費用がかかるということも、珍しくありません。
インターネットVPNでは、初期費用もかからず月額費用が数百円という安さで、使用することができるプランもあります。
また、インターネットVPNのなかには無料で使用できるものもあるため、価格面で大きなメリットがあります。
通常インターネットに接続するためには、プロバイダとの契約が必要です。
IP-VPNでは、通信事業者が保有する閉域IP網を使用するため、その通信事業者と別途契約をしなければいけません。
なかには、拠点によって別々のプロバイダと契約しているところもあるでしょう。
そのような場合でも、インターネットVPNならプロバイダに関係なくVPNに接続することができます。
インターネットVPNを使用するデメリットには、下記の2つがあります。
回線速度の変動
セキュリティリスクがある
それぞれ、どのようなものか詳しくみていきましょう。
インターネット回線で通信を行うため、回線の混雑状況などによって回線速度が変動する恐れがあります。
そのため、速度が安定せず、うまく接続できないなどの問題が発生する可能性があります。
大切なデータや大容量のデータをやり取りする際は、注意しましょう。
誰でも使用できるインターネット上で通信を行うため、IP-VPNに比べるとどうしてもセキュリティリスク高くなります。
使用者の意識が低いために起こる情報漏洩や、VPNシステムの脆弱性をついたハッキング行為など、セキュリティリスクはさまざまです。
使用者のセキュリティ意識を高めるための教育や、システムのこまめなアップデートなどを心がけましょう。
ここでは、インターネットVPNのおすすめサービスを上記します。
おすすめするサービスは、「NordVPN」。NordVPNは、パナマに本拠地を置くインターネットVPNプロバイダーです。
セキュリティやプライバシー保護において世界最強と称され、サーバー設置国は2021年9月23日現在で60ヵ国にのぼります。
NordVPNの特徴は、次世代の暗号化技術を用いた安全な通信と、速く安定した通信速度。59か国5200以上のサーバーを用意しており、どこでも制限なくインターネットVPNに接続できます。
また、価格が安いことも大きな特徴。さらに、347円/月〜という低価格で使用可能です。
1つのアカウントで、スマホやタブレット、パソコンなどの複数のデバイスからアクセスできることも魅力の1つです。
NordVPNについてもっと知りたい方は、ぜひ下記のURLから公式サイトをチェックしてください。
今回は、インターネットVPNの概要やIP-VPNとの違いについて解説してきました。
インターネットVPNとは、インターネット上に外部からは見えないトンネルを構築して、そのなかでデータのやり取りを行う通信方法です。IPsec-VPNをはじめ、代表的な通信方法が4つあり、それぞれ異なるプロトコルによって通信を行っています。
IP-VPNとはトンネルを構築する場所が違い、それぞれ使用するうえでメリットやデメリットが存在することに注意しましょう。
また、VPNを開設するにはルーターやクライアントの設定などが必要です。
これらの設定には専門の知識が必要なため、なかには難しいと感じる方もいるでしょう。
その際は、VPNサービスの使用も検討してみてください。
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